![]() 迷宮入り探偵(1) [ かんばまゆこ ] |
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横浜市神奈川区の「大口病院」で点滴を受けた男性入院患者2人が中毒死した連続殺人事件は、県警が昨年9月に神奈川署に捜査本部を設置してから23日で半年が過ぎた。病院は昨年12月に入院病棟を閉鎖。現在は一部の外来診療を受け付けるのみで、職員もほとんどが退職した。捜査本部は病院関係者が事件に関与した疑いがあるとみているが、捜査はすでに長期化。聞き込みなど地道な捜査が続く。(岩崎雅子、河野光汰)
「事件以降、医師や看護師らがどんどん辞めている。病院として再開するのは、もう難しいのではないか」。自身もかつて同病院に勤務していた元職員は、状況をこう打ち明ける。
同病院は昨年10月から、過去に受診歴がある外来患者のみ診療を再開。新規の入院患者の受け入れは中止し、事件前から入院していた患者には転院をすすめてきた。昨年12月に全員の転院が完了すると、入院病棟も閉鎖し、外来診療についても内科とリハビリテーション科は受け付けをやめた。現在稼働しているのは、小児科と整形外科だけという状況だ。
関係者によると、入院病棟の閉鎖に伴い、医師や看護師らが次々と退職。病院長や看護部長らも辞め、事件当時で56人いた医療職員は、現在常勤では3人にまで減少した。
同病院の担当弁護士は「患者さんに対し、できる範囲の対応を行おうと努力を続けている。地域のために病院を存続させたいという意志は強い」と話す。
捜査が長期化した原因は、物証の乏しさだ。
事件の被害者である八巻信雄さん(88)、西川惣蔵さん(88)はいずれも4階に入院。点滴に注射器のようなもので界面活性剤を混入され、中毒死したとみられる。
2人に投与された点滴は、最初に犠牲になった西川さんの点滴が始まった昨年9月18日の前日、一度に4階のナースステーションに運び込まれた。
そのため捜査本部はこの約1日の病院内の出入りに注目。一方、ステーションは無施錠で、袋に誰でも触れる状態だったことで、仮に指紋などが検出されても、有力な証拠とはいえなくなっている。院内には当時、防犯カメラも設置されていなかった。
捜査本部はこれまでに、延べ6646人の捜査員を投入。院内から押収した点滴袋や注射器などの鑑定のほか、病院職員や出入り業者など1600人以上に聞き込みを行うなど、地道な捜査が続く。
同病院では事件前、看護師のエプロンが切り裂かれるなどのトラブルが相次いでいた。
事件発生前の昨年7〜8月、病院を管轄する横浜市には、病院関係者を名乗る人物からトラブルを伝えるメールや電話が計4件寄せられていたが、市は「警察への連絡は病院がするべき」と判断。関係機関に一切連絡せず、事件発生直前の同9月の定期立ち入り検査まで、何も対応しなかった。
市の対応を検証する第三者委員会は今月15日、情報提供メールへの対処について「消極的で不適切」とする報告書案をまとめた。最終報告書の提出を受け、市は今後、対応指針を策定する方針だ。
入院先の病院で患者が相次いで殺害されるという特異な事件。同病院では事件後、防犯カメラ設置や薬剤管理の厳重化なども一時進められたが、一方で医療現場からは、「命を守るべき施設で犯罪を念頭に置いた危機管理を行っては、経済的にも人員的にも手が回らなくなる」との声も上がっている。
http://www.sankei.com/smp/affairs/news/170324/afr1703240028-s1.html
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